同性愛者と差別
homosexuality and discrimination



あなたの周りに

差別は存在しますか?

同性愛者はいますか?


同性愛者に対する差別や偏見は

存在すると思いますか?


「同性愛者(または、両性愛者)である」

と公言する人が少ない現状は

何故だと思いますか?



同性愛と現実

―同性愛者についてのデータ―


●世界の人口(日本の人口)の

2〜13%

は同性愛者(または両性愛者)だと言われています。


●これまでに自殺を考えたことがある同性愛者は

3人に2人

その内、実際に自殺未遂の経験がある人は

7人に1人




* この数字は2005年にゲイ・バイセクシュアル男性、約6000人対象に京都大学大学院医学研究科の日高庸晴氏が行ったアンケート調査によるものです。
また、日高氏や市川誠一・名古屋市立大学看護学部教授らが中心となってまとめた「わが国における若者の自殺未遂経験割合とその関連要因に関する研究」によると、「セクシュアルマイノリティの自殺未遂率は異性愛者の約6倍に相当する」との結果が示されています。(調査期間:2001年8月〜9月:大阪)



  01
  どれだけ傷つくのかを、知っていますか?

あなたの周りで、同性愛をからかいのネタにしたり、テレビに出てきた当事者を見て笑ったりバカにしたりすることはありませんか?調査によって違いますが、同性愛者や両性愛者は20〜8人に1人ぐらいの割合でいると言われています。あなたの横で当事者が傷ついている可能性があります。

数年前のバライティー番組では、ゲイのカップルが画面に登場した時の効果音が笑い声でした。同性愛やニューハーフの人たちを「おかま」という言葉で嘲笑していることもしばしばあります。メディアがこうした同性愛者を笑いのネタにする風潮を生みだしているのは紛れもない事実です。同性愛というと、「女っぽい男」「男っぽい女」「ムキムキマッチョ」を想像しがちかもしれませんが、大抵の同性愛者がごく普通の姿です。「おまえ、ホモじゃないの?気持ち悪い〜!」、「ホモとかありえないよね。」、「え〜、襲われる〜。」…何気ない会話の中に同性愛者に対して否定的な発言をすることで、あなたの周りにいる同性愛者は間違いなく傷ついています。冗談であったとしても、冗談とは受け取れません。なぜなら、当事者が傷ついているからです。

また、孤立してしまいがちな同性愛者は傷ついたことを周りに発信できないのも、自殺に追いやられる理由の一つかもしれません。「私は生きていていいのか?」、「私は幸せになれるのか?」…親にすら自分が同性愛者であることをカミングアウトできないでいる人たちがいます。社会の偏見の目に耐えなければならないのです。誰にも認めてもらえない自分、同性愛をけなす“ネタ”で皆と一緒に笑わないといけない自分…もう一人の自分を生きることで自分を守っている人もいます。しかし、もう一人の自分を生きるのには多大なエネルギーが必要です。とてもストレスのたまることなのです。

日本という社会がセクシャル・マイノリティ(ゲイ・レズビアン・バイセクシュアル・性同一性障害など)に対してまだまだ理解が少ないことが今の実情です。あなたが少しでも同性愛者に理解を示すこと、ただそれだけで救われる命があります。


無意識のうちに傷つけているイラスト 同性愛を笑いのネタにしたり、異性愛だけが当たり前だと思いこんだりするのを辞めてください。
その瞬間にあなたは誰かを傷つけている可能性があります。











  02
  同性愛って 生き物 として 不自然 なの…?

●  不自然って…?

では、まず生き物の「自然」はどういう状態なのでしょう。オスとメスによる子孫繁栄の姿? 多数を占めるものが権威を持つ状態? 一体誰が何を基準に自然や不自然を決めているのでしょうか?
少数派が異常であり不自然ならば、多数を占めるものが正常で自然ということなのでしょうか。生物学者の飯島衛の科学基礎研究では、少数であっても「異常」というのは突然変異とは違い、ある一定の割合で存在するもので、生き物として生命を維持していく上で何らかの意味をもっていると述べられています。将来の環境の変化によっては今、異常で不自然とされているものと正常で自然とされているものの数が逆転する可能性もあり、一概に不自然だという理由で退けてもいいとは言い切れません。今、同性愛者が少数派であり、生き物として不自然な存在だと認識されている事実がありますが、本当に不自然だといって社会から違った目で見られている事実を見て見ぬフリを続けてもいいのか考えて下さい。

●  生殖機能が無ければ生命維持はできないし、生き物としては失格…?

同性愛者のカップルでも、一般の夫婦で子供を授かれない場合と同じように人工授精や代理母で子供をもうけること、用紙を迎えることが可能です(医学的に生殖能力は異性愛者と変わらないため)。なぜ同性愛の夫婦だけが結婚を法律で認められていないのでしょうか?
近年社会の偏見が減るにともなって、動物の同性愛が公で報告されるようになりました。全ての高等類人猿にはじまり、象、馬、コアラ、鳥類、爬虫類、昆虫まで、実に様々な種で確認例は増え続けています。少数で、生殖能力がなくても子育てができ、家庭を持つ権利はあります!愛し合うこと自体が、生き物として自然な姿なのではないでしょうか。
イルカの写真 同性愛者の家族の写真    











  03
  同性愛を認めると社会の秩序が乱れる?

「同性愛を認めると社会秩序が乱れる」という人がいます。
そういう人に「何がどう乱れるのか」を聞いてみると

「同性愛者は子供を産まない」
「表に出てくると気持ち悪い/戸惑う」

という意見が多数を占めます。

しかし前に述べた通り、同性愛者でも環境次第では子供を持てます。これは社会がそれを許しさえすれば解決する問題なのです。

一方、「気持ち悪いから/少数派だから出てこないでほしい」という意見はどうでしょう。
本当はどんな人でも気付かないうりに、人に少しずる嫌な思いをさせながら生きています。誰にも嫌われない人はいません。
けれど迷惑をかけたわけでもないならば、互いに嫌な点を許し合うことで、社会は回っています。
「自分にとって不快な人は抑圧していい」
という理屈を許せば、社会は泥沼の闘争状態になってしまうのではないでしょうか。

「黄色い猿が堂々と生きているのはむかつくから差別しよう」
という理屈が無茶苦茶なのと同じだと思うのですが、あなたはどう思いますか?






  04
  マイノリティであれば差別をして良いのか?

同性愛者が身近に存在すると言っても、たった数パーセント。同性愛者はマイノリティであるから、差別され犠牲になってしまうのは仕方のないこと。

本当にそうなのでしょうか?

全ての人が平等の社会を作る。私達は一人ひとり、実現に向けて大きな一歩を踏み出すことが出来ます。それは、あなたのため、あなたの友人や恋人、そして家族のためなのです。

人為的な線引きのイラスト 全ての人はマイノリティとマジョリティの両面を持ち合わせています。またそれは、いつでも変化しうるものなのです。例えば、同性愛に限らず、会社をクビになる・身体に障害を持つ・両親が離婚するなど、全ての人はいつでもマイノリティになる可能性があるのです。また、自分はそうならないなどと言うことは不可能です。何故ならマイノリティとマジョリティとの間の線引きは人為的、つまり人の手によって線引きされているためです。あるグループの中で一人だけグループ内の他の人に比べ身長の低い人がいたとしましょう。もしその人が全人口の平均身長であったとしても、そこに線引きをし、「あいつはチビだ。」と簡単にマイノリティを生み出し差別することは出来るのです。あなたの近くにいる人達が、少数派になり差別を受け傷つくことになったら、どのように感じますか。

それぞれの可能性を持った人間、皆、権利を守られるべきです。互いに権利を尊重し合い認め合う社会は、マイノリティ・マジョリティどちらにも住みやすいものになるのではないのでしょうか。